本稿からSAPの原価計算モジュールの基礎について解説していきたいと思います。
CO-PCとは?
SAPのCO(管理会計)モジュールの中に配置されている原価計算を取り扱うサブモジュールです。
難解なSAPの中でも特に難所とされていて、ここを扱えるコンサルは本当に少ないと思います。
その分、基礎だけでも理解できていれば周りの見る目も変わってきます。
実際に筆者も転職活動の際に「CO-PCわかります」とアピールしたところ、どの会社でも面接官が「おっ!」と前のめりな姿勢になったことを覚えています。会社やPJでもCO-PCができれば希少人材として重宝されると思います。
そのため、学習コストはある程度かかりますが、習得した時のリターンも大きいと思いますので、頑張って勉強していきましょう!
CO-PCはなぜ難しいのか?
それではCO-PCはなぜ難しいとされているのでしょうか。
個人的には下記3点の理由によると思います。
①カスタマイズやマスタなど、とにかく事前に準備するものが多い。
【カスタマイズ】原価構成レイアウト、評価バリアント、原価計算表、配分構造・・・
【マスタ】品目コード、BOM、作業区、作業手順、活動タイプ・・・
など、標準原価を積み上げるだけでも様々な下準備が必要になりますし、それらがPPやMMなど他のモジュールにも跨っているので、広範な知識が必要とされます。
②分かりやすく体系的に学べるコンテンツが少ない。
これは筆者自身が学習する際にも苦労した点ではあるので、このサイトがそういったコンテンツになれれば幸いです。※余談ですが、COコンサルは偏屈で職人気質の人が多いので、現場でも丁寧に教えてくれる人が少ないと思います。(偏見?)
③トランザクションデータの流れが複雑。
下図は比較的簡単な勘定連絡図の例ですが、それですらなかなか複雑です。
実務ではこれに対して更に原価差異や部門間の配賦、コストコレクタ間の決済処理などが絡んでくるため、混乱すること必至です。

上記のような理由により、現場で急に部分的に任されたりしても、「自分が今何をやっているのか」を見失って迷子になりがちな領域だと思います。そのため、全体像を頭の中に思い描いて、常に「自分は今どこの設定・処理を行っているのか」を意識して学習していくことが重要です。
筆者はどのように勉強したか
主には以下のリソースを使って学習しました。
・某社主催のCO-PCの勉強会参加
・Amazonで売っているCO-PCの解説書
ただ、これらの知識をインプットして「ふーん」で終わるのではなく、社内のデモ環境を使って実際に手を動かして習得しました。
実機にまで手を出すのは面倒ではあるのですが、ここを怠ると「なんとなく分かったつもり」になって実践的な知識が得られないと思います。
最後に
本稿ではまずCO-PCの概要や業界内での位置づけを中心に見てきました。
次の記事では「そもそも原価とは何か?」について見ていきたいと思います。

コメントを残す